ナポレオン3世は上から下まで女を喰らうどうしようもない漁色家で、ウジェニーは敬虔なカトリック信徒で浮気も全くしないし許さないのでいい夫婦かと言われるといや…となるのですが、ナポ3が普仏戦争後捕虜になった際に幽閉先のヴィルヘルムスーへ城に亡命中のウジェニーが隠れて面会しているという話があったりもするのでお互い(低い所だけども)釣り合っていたところはあったのかなと…(なおその前にナポ3がセダンで捕虜になったという一報が入った時点ではウジェニーは「なんで自殺しなかったの!」と言い放ってはいる)
以前投稿した↓のイラストはこのためのものでした。グリッター地の缶バッジに一部白版を入れているのですが想定したよりも綺麗に出来てくれて嬉しい。
名前を挙げた作中作品は、歴史上の人物を小説作品として扱う時の歴史的正確さと創作作品としての視点に関して、この話自体がフィクションとはいえ細かく掘り下げられていて良かったです。
『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』に登場した作中作品のタイトルは正確には『アレクサンドロス三世』でしたね。大変失礼いたしました…
それでいて参考文献ページも創作と実在の書籍が併記されていて物語のフレーバーとなりつつも、それだけに留めずちゃんと小説作品としての参考文献としても機能していて、終始考証と創作の関係性に誠実な作品に感じられました。
この小説自体が史料から何を見出し、物語を紡いでいくかという内容に向き合ったものとなっていますが、作中人物が発表する作品群、特に『アレクサンダー三世』二部作は歴史上の人物の既存イメージに対して自らはどういう姿勢でどう表現をしていくかという点を丁寧に追っていて良かったです。作中作品をそれぞれ実際に読みたい…
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序文を眺めただけでもただならぬものを読み始めてしまったぞ…と凄みを感じたのですが、全編を通して英語作品の邦訳本という体は徹底していて、なおかつ事実の中への虚構の織り混ぜ方が自然で作中にある空と海の青が溶け合っているという表現がまさしくとなるような作品でした。
かなり綿密な考証を行ったであろう、登場人物達の周辺描写によって説得力を持たせながら架空人物や実在人物のプライベートな部分を生き生きと描写していて、史実を元にした創作の真骨頂に思いました。
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昨日の首振りなぽ3アクスタを頒布してみます↓
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ヌムール公(ルイ=フィリップ1世次男ルイ・シャルル)、自分が開いた”男子はキュロットを履いてくる事”という条件付きの舞踏会の来客が誰一人としてキュロットを履いてこなかったという話もあったりするのでまたファッションで失敗している…という気持ちになりました。
こんなポーズで描いていてあれですが、この制服は当時のモード(というか騎兵の長だったヌムール公の趣味)を反映したデザインなのですが、あまりにも体にフィットしすぎていたので戦闘が不可能な代物だったらしい。
「30歳まで生き残っている騎兵はクズだ」なんていう言葉を残した第一帝政期でも傑出した騎兵指揮官の一人です。この時代の騎兵上から下まで命の扱いが軽すぎる。
そういうエンタメ、スペクタクル重視の画作りについて意図を述べていればここまで憤らなかったと思うのだけども、本当に Get a life なんて乱暴な言葉で片付けて欲しくなかった。
トレーラーのアウステルリッツの場面を見た時点でもいわゆる伝説を補強するような雰囲気があったのが、監督に無頓着な態度を示されて一気に不安になってしまった。
『ナポレオン』だとスフィンクスの鼻/ピラミッドに砲撃するというとっくの昔に否定されたり事実ではない画を21世紀にもなって再演する意図が分からないのですよね…
考証がエンタメを過度に萎縮させるべきではないというのはもちろんそうだし自分も歴創を描く際にフィクション含むエンタメ要素を入れる事がある(その際は史実との違いを説明するようにしている)から全否定する気はないのですが、そこに胡座をかいて歴史研究の成果を軽視しているような態度を示しては欲しくなかったというところがある。